Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぶのはなまがり
南部の鼻曲り
久生 十蘭
Lesen Sie 南部の鼻曲り (なんぶのはなまがり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.683 Zeichen · 25 Bildschirme
「The same to you!」
お返しだよ、といいながら、鮭でモオリーの横っ面を力まかせに撲りつけ、ひょろけるやつを襟首と尻をつかんで鮭の山の中へ埋めてやると、モオリーは頭から爪先まで鱗にまみれて、まるで亜剌比亜夜話の王子のようになった。
六月になると、いよいよ鮭時がはじまって、眼が廻るほどいそがしくなった。
ここでちょっと鮭罐の工程を説明しておくが、河岸の魚揚場からエレベーターで上ってきた鮭はそのまま魚切機械へ入って頭と尾を切られて魚洗場へ出てくる。
血や臓腑の残りをきれいに洗われたやつは、回転庖丁のついた箱を通って幅二吋半の切身となって受桶へ落ちてくる。その途端に空罐が約七寸の勾配で上のほうからゆっくりと下ってきて、一封度の魚肉とひとつまみの塩をさらいこみ、調帯に飛って罐叩きのいる仕上台へ流れてくる。
ここで仕上げをして閉蓋機械の鉄管を通し、いちど冷却してから蒸気釜へ入れるという順序だが、いちばんむずかしいのは最後の仕上げをする罐叩きの役である。
調帯に乗って流れてくるやつは、けっしてキチンとした状態になっているのではない。そこが機械の浅ましさで、罐を開けたときの、われわれの美的印象などは全然考慮に入れない。