Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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らんとうばのてんにょ

卵塔場の天女

泉 鏡花

Lesen Sie 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.251 Zeichen · 94 Bildschirme

Aozora Bunko

私たちが豆府や剥身を買うように、なんでもなく使っていらっしゃるようだけれど、塗といい、蒔絵といい、形といい、大した美術品とやらなんですとさ。」

「へーい、成程。」

「仏蘭西のパリイの何とかって貴族の邸の応接室で、ヴァイオリンですか、楽器をのせる台になっているんですって。」

「へーい、成程。」

「提灯を一つ貸して下さいな。」

「へーい、成程。」

「そこの道具屋さんで借りれば可かったのに、ついうっかりしたもんだから。」

「へへい、成程。――どちら様で。」

「別院傍の紅屋の家内ですがね、どちらだって構わないじゃありませんか。」

お悦は澄まして、その定紋つきの提灯を下げて前へ立つと、一柳亭の傍を、川へ、石段づたいに、ぐいと下りた。大橋の橋杭が昼見た山の塔の高さほどに下から仰がれる、橋袂の窪地で、柳の名、雪女郎の根の処である。

「ここが暗いんですからね。――ちょっと見たい事があるんです。」

片側川端の窓の燈は、お悦の鼈甲の中指をちらりと映しては、円髷を飛越して、川水に冷い不知火を散らす。が、屈んで、差出した提灯の灯で見ると、ああ、その柳の根に、叩きつけたようになって、秋草の花瓶ががらがらと壊れていた。