Japanische Klassiker mit Furigana
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さんぐうがえり
参宮がえり
田中 貢太郎
Lesen Sie 参宮がえり (さんぐうがえり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.325 Zeichen · 15 Bildschirme
「あの船頭さんは、年老った方の船頭さんは、お前さんの伯父さんかね」
「伯父でございます、一人は兄でございますが、二人とも困ったものでございます」
父親にはその困ったと云う意味が判らなかった。
「二人が大酒でも飲むかな」
「大酒と云うでもありませんが……」
女はそれからうえ云うのを厭うように口をつぐんだ。父親はふと伯父甥で陸へあがって道楽でもするのであるまいかと思った。
「二人で道楽でもするかな」
女はちょっと考えるようにして云った。
「そうでございます、道楽をしたり、酒を飲んだり、困ります」
「まあ、こうした商売をしておると、すこしはしかたがないだろうが、姐さんは、何時もこの舟におるかな」
「はい、家に何人もおりませんから、舟におります」
「家はどこだな」
「鳥羽の近くでございます」
「鳥羽の近く」
父親はそう云いながらまだ飯を喫わずにいる忰に気が注いた。
「飯をやったらどうだ」
「喫べましょう」
忰はやっと茶碗を持った。
「今飯鉢と茶を持って来ます」
女は忰の方をちょっと見てから立って艫の方へ往った。
「船頭なんて云う者は、皆ああしたものだよ」
父親は小さな声で嘲るように云った。