Japanische Klassiker mit Furigana
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とりかじ
取舵
泉 鏡花
Lesen Sie 取舵 (とりかじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.453 Zeichen · 15 Bildschirme
ここを先途と漕げども、盪せども、ますます暴るる浪の勢に、人の力は限有りて、渠は身神全く疲労して、将に昏倒せんとしたりければ、船は再び危く見えたり。
「取舵!」と雷のごとき声はさらに一喝せり。半死の船子は最早神明の威令をも奉ずる能わざりき。
学生の隣に竦みたりし厄介者の盲翁は、この時屹然と立ちて、諸肌寛げつつ、
「取舵だい※(感嘆符二つ、1-8-75)」と叫ぶと見えしが、早くも舳の方へ転行き、疲れたる船子の握れる艪を奪いて、金輪際より生えたるごとくに突立ちたり。
「若い衆、爺が引受けた!」
この声とともに、船子は礑と僵れぬ。
一艘の厄介船と、八人の厄介船頭と、二十余人の厄介客とは、この一個の厄介物の手に因りて扶けられつつ、半時間の後その命を拾いしなり。この老いて盲なる活大権現は何者ぞ。渠はその壮時において加賀の銭屋内閣が海軍の雄将として、北海の全権を掌握したりし磁石の又五郎なりけり。