Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こきんしゅうまきのご

古今集巻之五

山本 周五郎

Lesen Sie 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.482 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、主計は「子が生れない」ということなど考えもしなかったし、杉江を娶ってから三年経つということさえ、気づかずにいたくらいであった。

たみが茶の支度をして来、「食事をどうするか」と訊いた。主計はたみが眼を泣き腫らしているのに気づいた。

「お客さまにも食事を差上げるのでしょうか」とたみが訊いた。

「ちょっと坐ってくれ」と主計が云った、「おまえ、杉江のことでなにか知っているか、あれが自殺しなければならないようなことで、なにか勘づいた覚えはないか」

「はい、存じません」たみは片手で眼を押えながら答えた、「そういうそぶりは一度もおみせになりませんでしたし、わたくしが気づいたようなこともございません」たみはもう一方の手もあげ、両手で顔を掩って、泣き声をころしながら云った、「わたくし、奥さまに可愛がっていただきました、自分のことはなにもかも、どんなつまらないようなことでも申上げていましたし、奥さまのこともたいていは存じあげているつもりでおりました、でも、こんなことになろうなどとは、ただの一度も考えたことはございません、たぶんわたくしがばかだったのでございましょう、そう思うとわたくし申し訳もなし」