Japanische Klassiker mit Furigana
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こきんしゅうまきのご
古今集巻之五
山本 周五郎
Lesen Sie 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.482 Zeichen · 43 Bildschirme
七
なかったと云いきることができるか。杉江がなにを考えていたかさえ知らなかったのに。ああ、と主計は呻き声をもらした。
丹野の妻女がそっと茶をはこんで来、寝所の支度のできたことを良人に告げて、足音を忍ばせるように去った。
「起きて茶をのまないか」と丹野が呼びかけた、「寝所の支度ができているぞ」
七
九月になるとすぐ、永井主計は国許へ帰った。病父の容態が悪い、という理由で許しを得たもので、老臣のほうでも、それが口実だということはわかっていたらしいが、帰国願いは簡単に許された。
江戸を立つまえ、主計は側用人の戸田蔵人に呼ばれ、いろいろ眼にあまる行跡が多いにもかかわらず、寛大に扱われているのは殿の御意によるものだ、それを忘れては相済まぬぞ、と云われた。播磨守正成はまだ二十四歳で、家督をしてから五年にしかならない。近代稀にみる英明な質だといわれているが、永井は十年まえ、罪に問われて以来ずっと無役なので、式日のときに伺候するだけだから、主計はまだ二度しかめどおりをしたことがない。いくら英明であるにしても、殆んど顔も知らない自分を、どうして特に寛大に扱うのか、主計には側用人の言葉が信じられなかった。