Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.431 Zeichen · 428 Bildschirme

Aozora Bunko

「だれも不思議だと申しちゃいない。それからいかがいたした」

「いかがいたすもなにもねえんでがす。なにしろ、三百両といや、あっしらにゃ二度と拝めねえ大金ですからね。いい心持ちでふところにしながら、とんとんとはしごを上って、おい、ねえさん、中ぐしで一本たのむよっていいますと……」

「中ぐしというと、うなぎ屋だな」

「へえい、家はきたねえが天神下ではちょっとおつな小料理屋で、玉岸っていう看板なんです」

「すられたというのは、そこの帰り道か」

「いいえ、それがどうもけったいじゃごわせんか、ねえさんが帳場へおあつらえを通しにおりていきましたんでね、このすきにもう一度山吹き色を拝もうと思って、そっとふところから汗ばんで暖かくなっている三百両の切りもち包みを取り出そうとすると、ねえ、だんな、そんなバカなことが、今どきいったいありますものかね」

「いかがいたした」

「あっしの頭の上に、なにか雲のようなものが突然ふうわりと舞い下がりましてね、それっきりあっしゃ眠らされてしまったんですよ」

「なに、眠らされた?」

その一語をきくと同時に、むっつり右門の苦み走った面には、さっと血の色がわき上がりました。