Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.105 Zeichen · 337 Bildschirme
そのかわりに、黒だかりの人の目が一様にお倉の奥をのぞいているのです。右門流の眼でした。物見高げに人の目が倉の奥へそそがれているからには、伝六のいるところもその奥にちがいなく、事の起きているのもまた同じその倉の奥に相違ないのです。
名人は足早にずかずかと広場を奥へ急ぎました。一ノ倉から始まって、二ノ倉、三ノ倉、九ノ倉と、長い棟が九棟ある。
しかし、どの棟もどの倉も錠がおりて、人影は夢おろか、なんの異状もないのでした。
いぶかりながら裏へ回ってみると、中秋九日の夕月がちょうど上って、隅田の川は足もとにきらめく月光をあびながら、その川の上へぬっと枝葉を突き出している大川名代の首尾の松までがくっきりとひと目でした。ひょいと見ると、その首尾の松の根もとにうずくまって、必死に背を丸めながら、必死に頭をかくしながら、わなわなと震えている男の影が見えるのです。
「伝六か!」
「え……? き、き、来ましたか! ありがてえ。だ、だ、だんなですか!」
「バカだな。何を震えておるんだ。しっかりしろい!」
「こ、これがしっかりできたら、伝六は柳生但馬守にでも岩見重太郎にでもなんにでもなれるんですよ。