Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
文代は叮嚀に挨拶を返したあとで、
「やっぱり畑柳さんの……」
と尋ねて見た。
「無論、それです。だが、まだ警察には知らせてないのです。この人達にも内しょですよ。沢山の見物人達に騒がれては、却て鳥を逃がしてしまいますからね」
男は声を低めて、さもさも一大事という調子だ。
まだ電燈がついたばかり、太陽の残光と、電燈とが、お互に光を消し合っている、大禍時。その中に、黒い怪鳥の様な男の姿が、いとも不気味に見えたものだ。
「では、早く明智さんに会わせて下さいまし」
文代はふと「唇のない男」を思出した。彼女は昼間の事務所での、三谷と明智との会話を聞いた訳ではないのだから、読者諸君程は、その怪物のことを知らなかったけれど、新聞記事を記憶していたのか、何となく、今目の前に立っている男が、その怪賊ではないかという様な気がしたのだ。
「イヤ、せくことはありません。賊は明智さんが見張っているのです。もう捕らえたも同然です。それについて、あなたのお力を借りなければならぬのですがね。つまり、美しい女の魅力という奴ですね。幸、相手はあなたの顔を知らぬ。そこで、あなたの御助力で大袈裟な騒ぎをしないで、賊をこの雑踏の中から、おびき出そうという訳です」