Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
その森の中で、先に立って歩いていた明智が、ふと足を止めて、向うの暗闇を覗くようにしたので、少年もギョット立止って、怖々すかして見ると、ボンヤリと、妙な所に、妙なものが突立っていることが分った。
その辺は一体、歌舞伎劇になぞらえた菊人形の舞台なのに何を間違えたのか、防寒外套に身を包み、毛皮裏の頭巾をスッポリと冠った、陸軍士官が、杉の大木に凭れてヒョイト立っていたのだ。
「変だな」と思いながらも、併し、まさかそれが、生きた人間とは知らぬので、何気なく通り過ぎ様とすると、その士官が、機械仕掛けの様にツート動き出して、明智の行手に立ちふさがり、アッと思う間に、彼の手を握ったかと見ると、いきなり耳に口を寄せて、何事か囁いた。
小林少年は、ゾッとして、思わず逃げ腰になったが、見ると、士官人形は、そのまま、フワフワと風みたいに、先に立って歩いて行く。明智はそれを引捕え様ともせず、平気で、あとからついて行く。
何が何だか分らぬけれど、少年は、明智の様子に安堵して、兎も角、あとに従った。
少し行くと、「清玄庵室」の不気味な場面がある。
立ち並ぶ杉木立の、殆ど真暗な中に、破れすすけた庵室が建っている。