Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
ところが、調べが終って、いざ拘引しようと、その部屋へ引返して見ると、倭文子と茂少年の姿がない。邸中隈なく探し廻っても、どこにも見えぬ。表へ駈け出して見ても、その辺に影も形もない。女の身で、子供までつれて、大胆不敵にも、彼女は逃亡したのだ。
「ソレッ」というので、警官達は、本署に電話をかけて、手配を頼む。手分けして、捜索に走り出す。という騒ぎだ。
裁判所の一行も、続いて引取って行く。邸内は嵐のあとの様に、静まり返ったが、それから約一時間、まだ警察から何の知らせもない。倭文子はつかまらぬのだ。
「しかし、子供づれの女が、どうして長く身を隠していることが出来ましょう。やがて、つかまるのは極ってます。そして牢獄です。法廷です。しかも、こんなことになった元はといえば、この僕です。僕はどうしていいか分りません。明智さんに電話をかけたのは、この僕の気持をお話しして、智恵がお借りしたかったのです。僕はこんな明白な事実を、どうしても信じることが出来ません。あの倭文子さんに本当に殺意があったとは思えないのです」
三谷青年は、はけ口のない苦しみを、恒川警部にぶちまけた。