Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「たった今出て行って下さい。傭人の癖に生意気な!」

あられもない暴言が、口をついてほとばしる。我まま者の癖として、彼女はもう目がくらんでいたのだ。一時的狂気の発作に襲われていたのだ。

目はしの利かぬ老人は、こらえこらえた諌言だけに、容易にあとへ引こうとはせぬ。

「出て行きませぬ。どちらのいい分が正しいか、御親戚の御批判を待ちましょう」

とまでいわれては、もう我慢が出来ぬ。倭文子は、じだんだを踏んで、その辺の品物を、手当り次第に投げつけてやりたい程、くやしがった。

「憎い憎いおいぼれ親爺め、くたばってしまえ。くたばってしまえ」

口には出さなかったけれど、心の中の毒血が、その様にわき立った。

主人を押えつけ様と、世間体を口実に、のしかかって来る、渋皮親爺の顔を見ていると、歯ぎしりが出た。額のしわも、長い眉も、白っぽい目も、ワシの様な鼻も、入歯の口元も、どれもこれも、たたきつぶしてやりたい程、憎たらしく思われる。

「サア、出て行って下さい。でないと、あたし、かん癪持ちだから、どんなことをするか分らなくってよ」

倭文子はもう、この老人と取組み合いでもしかねまじき権幕だ。