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Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

ほんの少し苦しいのを我慢すれば、私達は天国へ行かれるのよ。ネ、いい子だから」

火焔の音は、刻一刻強くなるばかりであった。それにつれて、棺内の温度が徐々に昇り始めた。板に燃え移るのも、間もあるまい。

「母さま、熱い」

「エエ、でも、もっともっと熱くならなければ、天国へは行けないのよ」

倭文子は、歯を食いしばって、我子をしっかり抱きしめていた。

たえ難い熱さだ。

もう棺の底に火が移ったのであろう。ピチピチと板のはぜる音と共に、ふたの隙間から、真っ赤な光が、地獄の稲妻の様に、チラ、チラと棺の中を照らし始めた。

「火事! 母さま、火事! 早く、早く」

茂少年は、出来ぬまでも、棺の蓋を突き破って、逃げ出そうと、もがき廻り、はね廻った。

棺内の空気は乾燥し切て、ほとんど呼吸も困難になって来た。それよりも恐ろしいのは、底の板の焼る熱度だ。観念をした倭文子でさえ、もう我慢がし切れなくなった。

「アア、分った。やっぱりそうなのだ」

最後の瞬間、火焔のようにハッキリと、倭文子の頭にひらめいたものがあった。

三谷さんは、私達を棺に入れる時から、それが火葬場の炉の中で焼捨てられることを、チャンと知っていたのではあるまいか。