Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
それとも、この井戸に、もっと別の用事があるのかしら。
一寸法師は、やっとのことで、五枚の重い敷石をとりのけた。敷石の下には、井戸の口に、太い丸太が二本横たえてある。彼はそれをも、とり除いた。怪物が敷石を動かし始めた頃から、むせ返る様な、一種異様の臭気が、部屋中にただよい出した。胸がムカムカする、甘酸ぱい様な腐敗の匂いだ。
恒川氏は、すぐ様、それが何の匂いであるかを悟って、非常な驚きにうたれた。
「アア、何ということだ。若しかすると、俺は大失策を演じたのではあるまいか。こんな所に古井戸のあることを気づかず、その中に何があるかも、まるで知らなかったというのは、鬼刑事の名に対しても、取り返しのつかぬ大失態ではないかしら」
と思うと、もうじっとしてはいられぬ。彼は明智の腕をつかんで呶鳴り出した。
「君、あの穴の中に、一体何があるのです。この匂いは何です。君はそれを知っているのでしょう。サア、いってくれ給え、あれは一体何です」
「シッ…………」
明智は落ちつき払って、唇に指を当た。
「お芝居の順序を乱してはいけません。もうすこし我慢して下さい。三十分以内には、すべての秘密が、すっかり暴露するのです」