Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
小父さんですよ。母さまの代りに、君を迎えに来た、小父さんですよ」
三谷が、少年を引寄せて、そんなことを囁いていた時、賊の逃げた方角に当って、異様な叫び声と共に、何かが木の幹にドシンドシンとぶつかる音がした。
「捕えた。賊は捕えたぞ」
木蔭に忍んでいた刑事の一人が難なく曲者をとらえたのだ。
四方に起る「ワッ」という様な声、人の走る足音。
刑事の伏勢が、全部その方へ馳せ集った。
余りにあっけない捕物であった。
刑事の一団は、賊の繩尻をとって、その顔を見る為に、少し離れた所に立っている常夜燈の真下へ連れて行った。三谷も少年の手を引いて、そのあとからついて行ったが、明るい電燈の光で、少年の顔を一目見ると、彼はなぜか「アッ」と異様な叫声を発した。
読者諸君が想像された如く、三谷が取戻した少年は、茂とは似ても似つかぬ贋物であった。茂の洋服を着た、見も知らぬ子供であった。
だが、仮令茂が贋物でも、賊の本人が捕えられているのだ。子供はいつでも取戻せる。
三谷は見知らぬ少年を引連れて、賊を取巻く刑事の一団に近寄って行った。
ところが、これはどうしたのだ。そこにもまた、実に変てこなことが起っていたではないか。