Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
またしても、ヌメヌメと、襲いかかる怪物の触覚。
ゾッとして、身を固くして、襲いかかるのを、払いのけると、
「ワーッ」
と上る、子供の悲鳴、鞭の音。
アア分った、怪物は何かの方法で、上にいる相棒に、指図をしているのだ。折檻させたり、やめさせたり、緩急自在に操って、倭文子を責める武器としているのだ。
抵抗すれば、間接ながら、我がいとし子を死ねとばかり、責めさいなむも同然だ。アア、どうしたらいいのだ。こんな残酷な責道具が、この世にまたとあろうとは思われぬ。
倭文子は、子供の様に、声を上げて泣き出してしまった。智恵も分別も尽きたからだ。
「とうとう、参ってしまったね。フフフフフフフ、どうせそうなるのだ。じたばたするだけ、無駄というものだ」
耐えがたき圧迫感、耳元に響く嵐のような呼吸の音、熱い息。……
その刹那、倭文子は、名状し難き困迷を覚えた。今彼女の上に、のしかかっているものの体臭に、微な記憶があったからだ。
「こいつは、決して見ず知らずの人間ではない。それどころか、いつか、非常に親しくしていたことのある男だ」
知っている人だと思うと、彼女は猶更ゾッとした。