Japanische Klassiker mit Furigana
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るそんのつぼ
呂宋の壺
久生 十蘭
Lesen Sie 呂宋の壺 (るそんのつぼ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.375 Zeichen · 36 Bildschirme
垂繩につかまらせると、四人のマレー人が前衛後衛になって、岸をめがけて泳ぎだした。
吉之丞が物見台にあがって見ていると、泥堆にうちあたる返波に揉まれながら、それでもすこしずつ陸岸のほうへ泳ぎ寄っている。船と岸のちょうど真中ぐらいのところに、白波が立騒いでいる潮路のようなものがある。どうなることかと思っていると、そこもどうやら無事に泳ぎ切った。
無理もないことだが、モニカは疲れてきたらしくて、ときどき頭が水の下に沈む。それでも垂繩から手を放さずにどうにかついて行く。とうとう六町たらずの海を泳ぎ渡って岸にあがった。
枯れた磯草を集めて焚火をしているのを見届けてから、吉之丞は仕度にかかった。錠銀がこぼれださないように腹巻をしめなおし、壺は風呂敷に包んで首に括りつけ、繩梯子をつたって甲板へ降りて行った。
死ぬ、ときめていた間は、なんとも思わなかったが、この船の中に千貫目の銀子が沈んでいるのかと思うと、妙な気がしないでもない。いささか思いが残るが、壺を千貫目で買ったと思えばあきらめがつく。
六尺ばかりの丸太を海へ落し、そうしておいて、太繩をつたって水に入った。