Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わせいつばきひめ

和製椿姫

大倉 燁子

Lesen Sie 和製椿姫 (わせいつばきひめ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.221 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女の隆盛はながかったが、やがて、東山春光第二夫人として家庭の人に納まったという噂を耳にして、彼は失望しました。椿姫であるうちならばともかく、家庭の奥深く入ってしまわれては、めぐりあう機会は絶対にありますまい。そうして彼が一生涯忘れようとしても忘れられないアパートの十日間の恩をついに返すことも出来ないので終らなければならないのです。それを思うと彼は腸を断つようでした。

一年は夢の間に過ぎ、翌年、それこそほんとに思いがけず、ある舞踊発表会の廊下ですれ違いました。この偶然のそれこそ天が与えた好機を逃がしてはと、勇気をふるって彼女の前に出ました。二人は手を取り合って喜んだのですが、その時彼女は悲しそうにいまの生活の大変不幸であることを打ち開けて、何とかして救ってくれと泣いて頼みました。

その頃から病は彼女の肉体を侵し始めていたらしいのですが、病床に倒れるまで東山は、一度も医者にかけなかったといいます。

病室を茶席に移してからの彼女の生活は世にも悲惨なものでした。体のいいそれは座敷牢でしたから。

いく度も彼女は逃亡を企てたかわかりません。そのうち次第に体の自由を失い、病気は本格的に肉体をむしばみ始めたので、どうにもなりませんでした。