Japanische Klassiker mit Furigana
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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
Lesen Sie 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.835 Zeichen · 61 Bildschirme
(はい。)
と、若奥様は潔い。
若旦那はまっすぐに立直って、
(立野さん。)
(…………)
(では、御要求をいたします。)
(謹んで承ります、一点といえども相背きはいたしますまい。)
(そこに、卓子の上に横にお置きなさいました、革鞄を、縦にまっすぐにお直し下さい。)
(承知いたしました――いやいや罪人の手伝をしては、お道さん、汚れるぞ。)
と手伝を払って、しっかとその処へ据直す。
(立野さん。貴下は革鞄の全形と折重って、その容量を外れない範囲内にお立ち下さい。縫子が私の妻として、婚礼の日の途中、汽車の中で。)
と云う声が少し震えました。
(貴下に、その紫の袖を許しました、その責に任ずるために、ここに短銃を所持しております、――その短銃をもってここに居て革鞄を打ちます。弾丸をもって錠前を射切るのです。錠前を射切って、その片袖を――同棲三年間――まだ純真なる処女の身にして、私のために取返すんです。袖が返るとともに、更めて結婚します。夫婦になります。が、勿論しかし、それが夫婦のものの、身の終結になるかも分りません。なぜと云うに、革鞄と同時に、兇器をもって貴下のお身体に向うのです。