Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじょう
地上
島田 清次郎
Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme
と先刻から姿見に帯の格好を直していた時子と菊龍と富江が、こう珍しくそこに坐っている冬子とお幸に言って外座敷に出て行ったあと、部屋はひっそりした。お幸は今宵も美しかった。彼女の小さな引き緊まった肉体が生み出す魅力と巧妙な化粧のあでやかさは、薄化粧をした地味好みの、美しいよりは綺麗な品のいい冬子よりは数段秀れて感じられるが、しかし二人が対い合っているときお幸は圧迫を感じていた。冬子の端然とした、色艶の目立たない寂びた美しさが彼女を圧して来るように感じられる。お幸は冬子と話することを避けた。
「市子ちゃん、米子ちゃん、店にいるの。こっちへ来てお習いをしないこと?」
「はあい」と燃ゆる緋のだらりの帯に、きら/\光る花簪が自分ながら素晴らしくてならない、米子と市子が出て来た。「わたし?」と市子は眼をいっぱいに輝かして「何?」と首をかしげた。それは可愛らしかった。お幸は有望な「芸妓」の未来を見、冬子は惜しい気のする「物寂しさ」を見出した。
「奴さんにして頂戴な、お幸姐さん」
「奴さん? よく/\奴さんが好きだと見えるのね。さ、いいかい――」
お幸の低い唄につれて市子は、一つ一つの振りにこもる感情の含蓄は理解出来ないまでも、熱心にやりはじめた。