Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじょう

地上

島田 清次郎

Lesen Sie 地上 (ちじょう) von 島田 清次郎 (しまだせいじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 175.250 Zeichen · 350 Bildschirme

Aozora Bunko

十二年、そうでしょう、小母さん、乳を呑んでいた赤ちゃんが中学校で威張る位になるのですものね。でもこれからよ、小母さんの苦労甲斐が現われて来るのは。本当に羨ましい」

「さあ――」とお光は淋しそうに笑った。「貧乏のせいか何んだか、その平一郎の一人前になる日に会われないような気がしきりにしましてね」

「そんなこと、小母さん!」冬子は本気で言った。「わたしだってこのままのわたしを小母さんに見せているだけでは小母さんに対してもすまないのですわ!」

お光はにこやかに微笑みつつ、心からの歓びをかくしきれないように、

「今のままだってわたしは十分結構ですの。ほんとにあれからでさえもう三年経ちましたっけ。随分あなたも立派な女になったものですよ。冬子さん」

「いけません、小母さん、冷やかしちゃ」冬子は顔を曇らせて苦いものを含んだように、切れ目の長い瞳を青い空に向けた。そして、「青い空ですこと――小母さんはまだお花見にいらっしゃらなかったはずね」

「ええ、仕事に追われてまだですよ」

「わたしも今年は行きたくなくて行きませんでした――ほんとに青い空」そして冬子はふいに言った。

「わたしのようなものでも、もし子供を持ちたいと思えば子供を授かることが出来るものでしょうか」