Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
油の味が舌の上へ流れ出したと思う間もなく、その中から苦い餡が卒然として味覚を冒して来た。しかしこの際だから別にしまったとも思わなかった。難なく餡も皮も油もぐいと胃の腑へ呑み下してしまったら、自然と手がまた木皿の方へ出たから不思議なものだ。どてらはこの時もう第二の饅頭を平らげて、第三に移っている。自分に比較すると大変速力が早い。そうして食ってる間は口を利かない。働く事も儲かる事もまるで忘れているらしい。したがって七つの饅頭は呼吸を二三度するうちに無くなってしまった。しかも自分はたった二つしか食わない。残る五つは瞬く間にどてらのためにしてやられたのである。
いかに逡巡をするほどの汚ならしいものでも、一度皮切りをやると、あとはそれほど神経に障らずに食えるものだ。これはあとで山へ行ってしみじみ経験した事で、今では何でもない陳腐の真理になってしまったが、その時は饅頭を食いながら少々呆れたくらい後が食いたくなった。それに腹は減っている。その上相手がどてらである。このどてらが事もなげに、砂のついた饅頭をぱくつくところを見ると、多少は競争の気味にもなって、神経などは有っても役に立たない、起すだけが損だと云う心持になる。