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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

竜太郎は、この長い間、いつでもひとりで暮らしていた。しかし、こんな寂しさを感じたのは、これが最初だった。世界中から自分ひとりだけが見捨てられたような佗びしさだった。自分の部屋の前へ帰って来て、ふと見ると、部屋の扉が半開きになっている。感動して、思わずそこで立ち止った。息苦しくなってギュッと拳を胸におしあてた。

(帰って来たんだ!)

竜太郎は喜悦の情に耐えられなくなって、勢よく扉を押して部屋の中へ走り込んだ。

空色の大きな絨氈の上に、朝日が陽だまりをつくっている。部屋の中には誰れもいなかった。

竜太郎は唇を噛んだ。そうしようとも思っていないのに、ひとりでに身体が動いて、絨氈の上にどっかりと胡坐をかいて腕組みをした。

(なるほど、こうすると、たしかに落ちつく)

ふと日本から遠く離れていることを思って、うっすらと涙ぐんだ。この、十何年にまだ一度も無かったことだった。

時計が八時をうつ。

竜太郎は、低く、つぶやく。

「今日は、いよいよ死ぬ日だ」

この部屋の窓からも、真向いに、南画のような松をのせた赤い岩が見える。地中海の青い水がはるばるとひろがっている。

「間もなく、おれは、あそこで死ぬ」