Japanische Klassiker mit Furigana
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なつとおじいさん
夏とおじいさん
小川 未明
Lesen Sie 夏とおじいさん (なつとおじいさん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.207 Zeichen · 5 Bildschirme
また、晩になると、蚊がやってきて、おじいさんを、ちくちくと刺しました。
「おれが、手足がきかないと思って、蚊までがばかにする。」と、おじいさんは、怒ったのであります。
はえや、蚊に対する腹だたしさが、つい雇い人のほうへまわってきましたから、たまりません。せめて、この夏の間なり、涼しい山の温泉にでもまいられたらといって、おじいさんにすすめました。
おじいさんは、いい考えだといって、喜ぶと思いのほか、
「仕事のいそがしい体で、そんなところへゆけるものか? 私は、あのビルディングの五階の事務所で、夏を過ごすつもりだ。」と、答えました。
「なるほど、それは、いいお考えでございます。」と、温泉行きをすすめた雇い人は、頭をかいて下がりました。
おじいさんは、いよいよビルディングへ移って、高い五階の室で住むようになってから、はたして、はえも、蚊もこなければ、涼しい風がはいって、それはけっこうでありました。
「なぜ、早くここへこなかったろう。」と、おじいさんは、大喜びでしたが、雇い人は、ますます手足のごとく使われて、上がったり、下りたりするので、ほんとうにやりきれなくなりました。