Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

……とにかく、それまでは親父の家、それも大家族の、純日本式の家の六畳一間に住んでいたんだもの、すべての他人の目や物音から遮断された、鍵のかかる部屋、それをぼくたちはどんなに望んでいたことだろう。その点では、たしかに思いを達したわけなんだよ。

しかし、念願の新しい団地アパートの一室に住みついて半年、ぼくは、なぜか奇妙ないらだたしさ、不安、まるで自分自身というやつが行方不明になったような、あてのない恐慌みたいなものを感じはじめているんだ。……べつに、だれのせいでもない、一種のノイローゼなのかもしれない。だから、あの男にも特別な罪はないのかもしれない。が、とにかく黒瀬というその男がぼくのこんな状態の直接のきっかけをつくった、これはたしかなんだ。

宴会でおそくなった夜だった。もうバスがなくて、ぼくは団地の入口までタクシイでかえった。ぶらぶらと夜風にあたりながらぼくの棟まで歩いて行き、すこし酔いをさますつもりだった。

そのとき、ぼくはぼくの前に、一人の男が歩いているのに気づいた。ぼくはびっくりした。まるで、ぼくの後姿をみるように、ぼくとそっくりの男なんだ。