Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
ぼくの部屋のまえに立って、扉に耳をつけた。
そのときの奇妙な感覚……そいつを、どうしたら君にわかってもらえるだろう。ぼくはまちがえていたんだ。そいつは妻の彼氏なんかじゃなかった。そいつは、つまり、ぼくだったんだよ。
安心しろ。べつにぼくは気が狂っているんじゃない。でも、そのときはぼくは自分の気が狂ったんだと思った。……部屋の中では、妻が二郎さん、二郎さんといつものようにぼくの名前を呼び、その日やってきたぼくの妹の話をし、笑っているし、なんと、うめくような疲れたときのぼくの声が、ちゃんとそれに相槌を入れているんだ。どうやら、妻はいつものように台所でかるい夜食の仕度をし、「ぼく」は新聞をひっくりかえしているのらしい。……ぼくは呆然としていた。とにかく、現実にもう一人の「ぼく」がいるのだ。するとここに立っている間抜け面の男、この「ぼく」はいったい誰なんだろう。どっちが本当の「ぼく」なんだろう。この「ぼく」は、いったいどこにかえればいいんだろう。……
酔いなんかさめていたつもりだったが、いま思うと、やはり酔いがつづいていたのかもしれない。そのときのぼくには、このぼくが本当の「ぼく」