Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「私はね、海のそばにいると、くたくたに疲れちゃうの」

「だから、今夜帰ろう。目白の家に」

「でも私、海のそばを離れたくもないの」

女もベンチに坐った。男は煙草を出し、手でかこって苦心してライターで火をともした。

手伝うでもなく、女はそれを見ている。

「いつまでも母に留守番をさせとくわけにもいかないしな」と、男はいった。

「お母さま、いい方ね。私好きよ」

「母も君のこと、すごく心配している」

「弘はお母さまに似てたわ」

「弘のことはいわない約束だぜ」

「あ。ごめんなさい」

男は深呼吸のように腕をのばし、ベンチの背にもたれた。

「ぼく、やっぱり明日から店に出るよ。本店のほうに行ってみよう」

「あなたって、偉いのね」

「そうじゃないよ」と男はいった。「仕事に、逃げるっていう意味もあるさ」

「偉いわ、あなた」と、また女はいった。「私、男に生まれてこなくってよかった」

「ねえ良子。元気を出せよ。へこたれたら、へこたれたとたんに終りだってさ、人間は」

「じゃ、私はもう終りなのよ」

女は、公園の道に目を落した。「笑われても、叱られても仕方ないわ。私にとって弘は、……そう、約束だったわね。