Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
「子供って、夫婦にとって、大きなものなんだな。あれと弘の誕生日とが、まるでぼくたちの生活の里程標みたいなものだったんだね」
男は、ふと気づいた。
「良子」といった。女は、表情が硬直していた。
蒼ざめた頬が慄え、なにも見ない目のまま、女はかすれた声でいった。
「やっぱり、お別れするわ、私、どうしてもあなたといっしょに暮せないの」
「また、それをいう、そんな……」
女の喉が動いた。前を見たままでいった。
「私、前は、クリスマスなんて、なんでもなかったのよ。家では、特別なことなんかなにもしなかったの」
「それは、ぼくもそうだよ」と男はいった。
「クリスマスのお祝いをするようになったのは、弘ができてから、弘がいたからだわ。あの飾りつけやプレゼントや、ご馳走や、いろいろと工夫をするクリスマスという日は、私には、弘のためにあったんだわ」
「うん」と、男は低くいった。
「私、弘のいないクリスマスなんて、耐えられない」
叫ぶように、女はいった。「あなたはどう? その日が、もうすぐまた来るのよ」
男はなにもいわなかった。
「弘は、ジングルベルが上手だったわ。私、弘のいない、弘のいたあの家で、とうていクリスマスの音楽なんか、聞けない。