Japanische Klassiker mit Furigana
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme
戻って来たのはまぎれもなく相良官兵衛だった、かれは新九郎のすぐ眼の前をとおって、坂のほうへと大股に登っていった。新九郎はそこへ銃を置き、足音をしのばせてうしろからしずかに追いついた、
「お待ち下さい」
とつぜんうしろから呼びかけられて、官兵衛はあっと叫びながらふり返った、新九郎はその驚愕の真向を叩くように、ずかずかとあゆみ寄りながら云った。
「三瀬新九郎です、いまの始終を見ていました」
「……なに、なに」
「すっかり見ていたんです、ご弁明がありますか」
それは念のためのたしかめだった、しかしその言葉が終らぬうち、官兵衛はいきなりがんどう提燈を投げつけ、するどく叫びながら抜き討ちをあびせかけた。もちろん期したことである、というよりもむしろそれは事実がたしかめられた証拠だった、――まちがいない、という確信はそのまま「斬る」という決意につながった、官兵衛の抜き討ちを躱しもせず、新九郎は踏みこんでちからいっぱい大剣を打ちおろした。ものを吐くような喚きごえと、強い手ごたえがあり、官兵衛は道の上へだっとのめった、新九郎はさらにその頸の根へ一刀いれてうしろへとび退った。