Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうやけがうすれて
夕焼けがうすれて
小川 未明
Lesen Sie 夕焼けがうすれて (ゆうやけがうすれて) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.316 Zeichen · 7 Bildschirme
「あっ、お父さんでないか。」
達夫は、目をみはりました。たとい、幽霊でも、お父さんだったら抱きつこうと待っていると、それは、釣りざおをかついで、どこかの人がつかれた足を引きずりながらくるのでした。
「駅へは、まだ遠うございますか。」と、その人が、たずねました。
「この町をまっすぐにいって、つき当たるとじきです。」と、達夫は、おしえました。
ぶどう色に空は暮れて、ボーウと、サイレンが鳴りひびきました。これから、工場では、夜業がはじまるのです。
「非常時のことで、仕事が忙しくなりました。体が強健で、希望の方は、奮って居残ってもらいたい。」と工場長のいった言葉が、達夫の耳に、はっきりとよみがえりました。
同時に、彼は、戦時日本の勇敢な少年工であったのです。急に、彼の足には力が入ったし、両方の腕は、堅くなりました。町へ入ると、ラジオの愛馬進軍歌がきこえてきました。彼は、いつものごとくほがらかで、口笛をそれに合わして、家に帰るべく駅の方へ歩いていました。
「ああ、おそくなった。」
電車に乗って、腰を下ろすと、ひとり言をしました。外は暗くなって、ただ町の燈火が星のように、きらきらしているばかりです。