Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「食わん魚釣って売るつもりか」

「おりゃ昔から売るのも買うのも嫌いや」

「……? ……」

「変な顔をするな。喧嘩のことや」

また洒落だ。

「洒落は漫才師でも言うぜ」

いい気になるなと、豹吉はうそぶいた。

「あはは……」

男ははじめて笑って、

「――洒落もお洒落もあんまり好きやないが、洒落でも言ってんと、日が暮れん。釣もそうやが……」

「ほな、失業して暇だらけやいうわけか」

「さアなア……」

「商売は何や……?」

「医者ということになっている」

「医者なら人を殺した覚えあるやろな」

「ある」

「どんな気持や……?」

「説明しても判らん。経験がないと判らん」

「ほな、今経験してみるわ」

豹吉はにやりと笑ったかと思うと、いきなり男の背中をどんと突いた。

男はあっという間に川の中へ落ちてしまった。

男が川の中へ落ちてしまったのを見届けると、豹吉は不気味な笑いを笑った。

しかし、さすがに顔色は青ざめていた。

ふとあたりを見廻した。

誰も見ていた者はない。午前六時だ。人影も殆んどなかった。

豹吉は固い姿勢で歩き出した。

「誰も見ていなくてよかったが、しかし、誰か見てくれていた方がやり甲斐があったな」