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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

ガマンの針助……。

この奇妙な名前の男について述べる前に、しかし、作者は、その時、

「やア、兄貴!」

と、鼻声で言いながら、ハナヤへはいって来た十七、八の、鼻の頭の真赤な男の方へ、視線を移さねばならない。

豹吉を兄貴と呼んだ所を見れば、同じ掏摸仲間であろう。名前は亀吉……。

首が短かく、肩がずんぐりと張り、色が黒い。亀吉というのが本名なら、もう綽名をつける必要はない。

豹吉の傍へ寄って来ると、

「兄貴、えらいこっちゃ。刑事の手が廻った!」

亀吉は血相を変えていきなり言った。

お加代の顔には瞬間さっと不安な翳が走ったが、豹吉は顔の筋肉一つ動かさず、ぼそんとした浮かぬ表情を、重く沈ませていた。

「……刑事の手が廻った」

という言葉の効果を期待していた亀吉は、簡単にすかされて、ひょいと首をひっ込ませると、

「けッ、けッ、けッ……。一杯担ぎ損いや。へ、へ、へ……。兄貴をびっくりさせるのはむつかしいわい。う、ふ、ふ……。しかし兄貴はなんでこない何時もびっくりせえへんネやろな。ヒ、ヒ、ヒ……」

実にさまざまな、卑屈な笑いを笑った。

「当りきや。そうあっさりと、びっくりしてたまるか。