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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

次郎と三郎は二階へ連れて行かれた。

そして、六畳の部屋へ入れられると、針助はカチッと錠をおろして、出て行った。

階下へ降りて行くらしい針助の足音を聴きながら、三郎はひそひそした声で言った。

「兄ちゃん、どないなるネやろなア」

「さアなア……」

「カンゴクへ行って、赤い著物著んならんか」

「サアなア……」

「母ちゃん今頃どないしてるやろなア」

「分ってるやないか。わいらの帰り待ってるにきまってる」

「母ちゃん心配してるやろなア」

「うん」

次郎は半泣きの声になっていた。

その時、階段を登る足音が聴えて、やがて針助がはいって来た。

はいって来た針助は、ブルブルふるえている次郎と三郎の前に、どっかりと坐ると、

「どや、お前ら腹がすいたやろ」

と、例の女のようなネチネチした口調で言いながらにこにこと笑っていた。

次郎と三郎には思いがけぬやさしさだったから、ほっとして、

「うん」

と、うなずくと、針助はふところからパンを出して、

「パンをたべろ」

次郎と三郎は顔を見合せた。

「どないしよう」

「食べよか」

「うん」

眼で語って、二人は同時に手を出したかと思うと、あっという間に口の中へ入れてしまった。