Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
途端に、豹吉はどきんとした。
渡辺橋の上を、警官が一人の女を連れて渡って行くのを、見たのだ。
警官を見て、どきんとしたのではなかった。
警官に連れられている若い娘を見て、驚いたのだ。
手錠を掛けられて、警察へ連れられて行くのであろう、しょんぼりうなだれて、顔が半分かくれていたが、しかし、その美しく整った顔には、見覚えがあった。
忘れもしない――いや、忘れられるものか――雪子だった。
雪子――阿倍野橋の宿屋で小沢の帰りを待っていた筈の雪子が、小沢が著物を持って帰ってやったわけでもないのに、いつ、どうして宿の外へ出たのか。
そしてまた、いつ、どこで、どんな悪いことをして、警官につかまってしまったのか。……
雪子は小沢の帰りを待っていたが、到頭待ちくたびれて、しびれを切らしてしまったのだった。
むろん、小沢にはもう一度会いたかった。
が、それだけに、小沢が帰って来ることが、怖くもあった。
小沢が帰って来れば、きっと、昨夜の裸の原因をきかれるに違いない。
昨夜は頑として、答えなかったが、もう今日となってみれば、いつまでも黙っておるわけにはいかないような気がした。