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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「何くそ!」

と、力んで、豹吉はいつもの蒼白い額を一層蒼白にしていた。

雪子を連れた警官は、桜橋から右へ折れて、梅田新道の方へ歩いて行った。

闇市はすぐ近くだ。

「雪子を奪って、闇市の雑踏の中へまぎれ込むのや」

豹吉はひそかにそう呟いた。

二人はやがて闇市の傍を通り掛った。

「今だ!」

と、豹吉は叫んで、ズボンの中へ手を突っ込んだ。

そして、いきなり足を進めて、すっと警官の背中へ寄って行こうとした途端、闇市の中からやって来た一人の男が、

「兄貴!」

と、かけ寄って来た。

亀吉だった。

「兄貴、ほんまに殺生やぜ」

と、亀吉は口をとがらせた。

「――一体どこうろついてたんや。ほんまに探すのンに苦労したぜ」

「用事なら早く言え」

豹吉は警官に連れて行かれる雪子のうしろ姿を、気にしながら、いらいらした声で言った。

「兄貴、わいに千円くれるという約束やったな」

「うん。おれを驚かせたらなア」

「兄責、びっくりしなや」

亀吉はポケットから紙片を出して、豹吉に見せた。

「今夜十時中之島公園、図書館の前で待つ」

隼

豹吉へ

二伸 亀吉の二千円は掏らせて貰った。

悪く思うな。

豹吉はちらと眼を通すと、表情一つ変えずに言った。