Japanische Klassiker mit Furigana
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よなきてっこつ
夜泣き鉄骨
海野 十三
Lesen Sie 夜泣き鉄骨 (よなきてっこつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.273 Zeichen · 31 Bildschirme
わしは、逡巡するところなく、押入をあけた。上の段に入っている蒲団を、静かに下ろすと、その段の上に登った。そして、一番端の天井の板を、ソッと横に滑らせた。そこには、幅一尺ほどの、長方形の、真暗な窖がポッカリ明いた。そこでわしは、両手を差入れて、天井裏を探ぐったが、思うものは、直ぐ手先に触れた。手文庫らしい古ぼけた函を一つ抱え下ろしてきたときには、横瀬は呆気にとられたような顔をしていた。
わしは、急製の薄っぺらな鍵を、紙入の中から取出すと、その手文庫を、何なく開くことに、成功したのだった。その中には、貯金帳や、戸籍謄本らしいものや、黴の生えた写真や、其他二三冊の絵本などが入っていたが、わしが横瀬の前へ取出したものは、手文庫の一隅に立ててあった二〇入の硝子壜だった。それには、底の方に、三分の一ばかりの黒い液体が残っていた。
「さァ、こいつだ」わしはソッと壜を横瀬に渡した。「最後に、お前さんから、教えて貰いたいのは」
「そうだね、これは――」横瀬は、十燭の電灯の光の下に、小さい薬壜を、ふってみながら、いつまでも、後を云わなかった。
「判らねえのかい」
「うんにゃ、判らねえことも、ねえけれど」