Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめのようなひるとばん
夢のような昼と晩
小川 未明
Lesen Sie 夢のような昼と晩 (ゆめのようなひるとばん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.487 Zeichen · 5 Bildschirme
赤い花、白い花、赤としぼりの花、いろいろのつばきの花が、庭に咲いていました。そうして、濃い緑色の葉と葉のあいだから、金色の日の光がもれて、下のしめった地の上に、ふしぎな模様をかいていました。
葉がゆれると、模様もいっしょに動いて、ちょうど、水たまりへ落ちた花が、浮いているようにも見えました。
また、どこからともなく、そよ風に、桜の花びらが飛んできました。
「ああ、なんというおだやかな、いい日だろう。」
少年は、うっとりと、あたりをながめていました。
そのとき、ピアノの音が聞こえました。
「前の家のおねえさんも、いいお天気なので、おひきなさる気になったのだろう。」
しかし、これほどよく、音と色とが、調和することがあるだろうか。
少年は、色鉛筆と紙を、そこへなげ捨ててしまいました。なぜなら、花だけをかいても、音をかくことができません。このさい、それを自分の力で表せぬなら、いっそなにも書かぬほうがよかったのです。
少年は、ただ自然の美しさと、やさしさに見とれるばかりでした。
「きのうきょうは、花のさかりだけれど、一雨くれば、みんな散ってしまいますよ。」
お母さんが、けさおっしゃった言葉が、ふと頭に浮かんだので、少年は、いっそうこの景色を、とうとく、いとしいものに思いました。