Japanische Klassiker mit Furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lesen Sie 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.606 Zeichen · 97 Bildschirme
それで死ぬのは惜しかあねえが、ここに一つ惜しいものがある。他でもねえこの箱だ」
布団の下から取り出したのは、神代杉の手箱であった。
「これをお前に遣ることにする。大事にしまっておくがいい。そうして俺が死んだ後で、窃りひらいて見るがいい。お前を幸福にしようからな」
ここでちょっと憂鬱になったが、
「そうだ、そうしてこの箱をひらくと、お前の本当の素性もわかる。もっともそいつはかえってお前を不幸にするかもしれねえがな。……だがそれも仕方がねえ」
「爺つあん」はしばらく黙り込んだ。
それからソロソロと手を延ばすと、指先を畳目へ差し込んだ。それからじっと聞き耳を澄まし四辺の様子をうかがってから、ヒョイと畳目から指を抜いた。
「これを」と「爺つあん」は囁くように云った。「早くお取りこの鍵を!」
見ると「爺つあん」は指先に小さい鍵を摘まんでいた。
「箱も大事だが鍵も大事だ。鍵の方がいっそ大事だ。だから別々にしまって置くがいい。この鍵でなければこの箱は、どんなことをしても開かないんだからな、……ところで紫錦よ気をおつけ。敵があるからな、敵があるからな。……で、もうこれで用はおえた。