Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lesen Sie 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.606 Zeichen · 97 Bildschirme
1
女軽業の大一座が、高島の城下へ小屋掛けをした。
慶応末年の夏の初であった。
別荘の門をフラリと出ると、伊太郎は其方へ足を向けた。
「いらはいいらはい! 始まり始まり!」と、木戸番の爺が招いていた。
「面白そうだな。入って見よう」
それで伊太郎は木戸を潜った。
今、舞台では一人の娘が、派手やかな友禅の振袖姿で、一本の綱を渡っていた。手に日傘をかざしていた。
「浮雲い浮雲い」と冷々しながら、伊太郎は娘を見守った。
「綺麗な太夫じゃありませんか」
「それに莫迦に上品ですね」
「あれはね、座頭の娘なんですよ。ええと紫錦とか云いましたっけ」
これは見物の噂であった。
小屋を出ると伊太郎は、自分の家へ帰って来た。いつも物憂そうな彼ではあったがこの日は別けても物憂そうであった。
翌日復も家を出ると、女軽業の小屋を潜った。そうして紫錦の綱渡りとなると彼は夢中で見守った。
こういうことが五日続くと、楽屋の方でも目を付けた。
「オイ、紫錦さん、お芽出度う」源太夫は皮肉に冷かした。「エヘ、お前魅られたぜ」
「ヘン、有難い仕合せさ」紫錦の方でも負けてはいない。「だがチョイと好男子だね」