Japanische Klassiker mit Furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lesen Sie 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.606 Zeichen · 97 Bildschirme
気をつけてお帰り、気を付けてな」
そこでお錦は二品を貰い、急いで部屋を抜け出した。
送るというのをことわって、義哉と一緒に帰ることにした。
森然とふけた夜の町を、二人は並んで歩いて行った。
義哉から見たお錦という女は、どうにも不思議な女であった。華美な身装、濃艶な縹緻、それから推すと良家の娘で、令嬢と云ってもよい程であったが、その大胆な行動や、物に臆じない振舞から見れば素人娘とは受け取れない。
「不思議だな、見当がつかない。……だが実に美しいものだ。しかしこの美には毒がある。触れた男を傷つける美だ」
肩をならべて歩きながらも、警戒せざるを得なかった。
「ところで住居はどの辺りかな?」
こらえられずに訊いてみた。
「ハイ、日本橋でございます」
「日本橋はどの辺りかな?」
「あの伊丹屋という酒問屋で」
「はあ、伊丹屋、さようでござるか」
義哉はちょっとびっくりした。伊丹屋といえば大家である。その名は彼にも聞えていた。
「失礼ながら、ご令嬢かな?」
「ハイ、娘でございます」
「さようでござるか、それはそれは」
こうは云ったが愈々益々、疑わざるを得なかった。
「それほどの大家の令嬢が、こんな深夜に江戸の町を、あんな片輪者を一人だけ連れて、浅草あたりのあんな家を、どうして訪ねたものだろう? いやいやこれは食わせ物だ。