Japanische Klassiker mit Furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lesen Sie 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.606 Zeichen · 97 Bildschirme
刺客の心は乱れていた。
と、唄声がはっきり聞こえた。
※(歌記号、1-3-28)雁がとどけし玉章は、小萩の袂かるやかに、返辞しおんも朝顔の、おくれさきなるうらみわび……
安房守は立っていた。同じ姿勢で立っていた。それからまたも喋舌り出した。
「女ではない、男だな。しかも一流の太夫らしい。一流となれば大したものだ。政治であれ剣道であれ、遊芸であれ官教であれ、一流となれば大したものだ。もっとも中には馬鹿な奴もある。剣技精妙第一流と、多くの人に立てられながら、物の道理に一向昏く無闇と人ばかり殺したがる。この安芳をさえ殺そうとする。馬鹿な奴だ。大馬鹿者だ。今この安芳を暗殺したら、慶喜公の御身はどうなると思う。徳川の家はどうなると思う。俺は官軍の者どもに、お命乞いをしているのだ。慶喜公のお命乞いを。……俺の命などはどうなってもよい。俺はいつもこう思っている。北条義時に笑われまいとな。実に義時は偉い奴だ。天下泰平のそのためには、甘んじて賊臣の汚名を受け、しかも俯仰天地に恥じず、どうどうと所信を貫いた。……俺は義時に則ろうと思う。日本安全のそのためには、小の虫を殺し大の虫を助け、敢て賊子に堕ちようと思う。