Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
二十四
叔父は甥の口を両手で引裂こうとし、甥は叔父の両鬢をむしり取ろうとして、取っ組んで、棺の前に重なり合い、転がり合っている二人の身体に、立ち上った仲裁の会衆も手のつけようがありません。そのうちに、また他の一方で物争いが持上りました。
これは仲裁として立ったお通夜の者の中に、また別に、二つの説があって、
「角之助さんの言うのが尤もだ」
と言うのと、
「新家の旦那の言い分が人情だ」
と言うのが衝突して、早くも組打ちがはじまってしまったことです。
仲裁する者が仲裁されるようになると、今夜はどうしたものか、最初から空気そのものが只事でありませんでした。妙に人の心を沈めて、そのくせ神経をイライラさせるような低気圧が、この家の周囲に覆いかぶさっていたのか、それとも、この室内の空気がら、おのずからそういう悪気を孕み出したのか、それは知れません。
仲裁が、二説にわかれては、争いがあるばかりで、妥協の望みは壊されて行くのみです。
口を利いているうちに、それがついに物争いになってしまいました。日頃、温厚を以て聞えた分別の者までが、言葉に刺を持って、額に筋を張って力み出したことは、物の怪につかれたようです。