Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.962 Zeichen · 145 Bildschirme
まして、この近辺は花柳の巷でもあるのか知らん、お雪ちゃんがうっとりしている間に、三味線の音締などが、小さな宮川の小波を渡っておとずれようというものです。座敷も、幾間も明いていたものですから、竜之助だけは二階へ案内して置いて、自分は下に、その次の座敷には久助さん。
そうして、この夜は、落着いて、ぐっすりと休むことができました。
だが、お雪ちゃんに限らず、人というものは、生きている以上は、周囲が穏かならば、自分の心の中が動き出すし、自分の心がやっと落着いたかと見れば、何かまた周囲で煩わしいことが、大きかれ小さかれ、そのいずれかの翻蕩の中に生きているようなものですから、せっかく、静かなお雪ちゃんの夢が、また夜中に破れ来ったということは、ぜひもないことかもしれません。
それはまず、犬の盛んに吠え出したことによって破れていると、次に夥しい人のわめき声が、つい目と鼻のところらしい人家の中から起り出して来たことで、
「何だろう、もう時刻も夜中を過ぎていようのに……」
お雪ちゃんが、寝床の中で、やや長いこと聞き耳を立てている間に、その人家の罵り声はいよいよ高くなり、全く只事ではないと思わせられました。