Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

子供は盛んに泣いています。

何と思ったか鬼女は、水屋の方へ向って一散に走りかけました。走ったのではない、飛びかかったような勢いでした。水屋というのは、前に出て来た鼓楼とは反対の側にあるのですが、鬼女――鬼女といっても、この際、急速に角が生え出したわけではなく、最初からの呪いの女をかく呼び換えてみただけのものです――はその水屋に向って突進したのですが、何につまずいたか、何に蹴られたか、そこにドウとばかりに仰向けにひっくり返ってしまいました。

「あ、あ、あ、あ」

そのまた起き上る前を、後ろの物蔭から長い手が一つ出て、鬼の頸を後ろから羽掻締めにして、そのままスルスルと「玄関の松」の後ろへ引込みました。

「あ、あ、あ」

と女は、なされるがままにして逆らうの力がない。怖ろしいものです、上には上があるものです、大通寺の境内には鬼を取って食う怪物がいる。

今やまさに、この玄関の松の裏の見えないところで、怪物の手に引きずられて、鬼女は骨まで食われている。

「あ、あ、あ」

それ以上の音は語を成さない。

頭からか、尻尾からか、それは知らないが、ボリボリと食われているのだ。