Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
百十五
ところは転じて飛騨の国、高山の町の北、小鳥峠の上。
「どうにも手のつけようがない」
仏頂寺弥助と丸山勇仙の自殺した亡骸を前にして、泣くにも泣けなかった宇津木兵馬は、手のつけようも、足の置き場もない思いをして呆然と立ちました。
少し離れたところの、樅の木蔭に隠れていた芸妓の福松は、兵馬が立戻って来ることの手間がかかり過ぎることに気を揉み出し、
「相手が悪いから心配だわ」
秋草の小鳥峠の十字路から、かなり離れたところの木立の蔭で、福松がひとり気を揉んでいるのは、なるほど相手が悪い。もし、先方で気取られてしまった日には、宇津木さんも袖が振りきれない。捉まってしまった日には、しつこくからみつかれてどうにもなるまい。
宇津木さんという方は、お若いに似合わず、剣術の腕にかけては素晴らしいとの評判は、この高山で聞いているけれど、相手のあの仏頂寺という悪侍が、一筋縄や二筋縄のアクではない。
宇津木さん、早く戻って来て下さればいい、こう思って芸妓の福松は、木蔭からちょっと首を出して、秋草の小鳥峠の十字路の方を見透そうとしたけれど、目が届きません。