Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
しかるにあの時、役人の傍に一人だけ変な奴がいて、何か僕の周囲で、別な心持を持ってちょこまかしていたのが、いま思い当るのです、そいつが僕の手形を抜き取ったのです」
「人の手形を抜き取って何にするつもりだろう」
「何にするつもりか、それはわからんですが、単なる悪戯でもないでしょう。しかしです、もうそれと知った以上、詮議しても無駄ですから、僕は諦めます」
「あきらめると言ったところで君、これから旅行免状なしに、どこへ行こうとするのだ」
「手形は無くても、道路があり、足がある以上は、行って行けないはずはないでしょう」
「そりゃあ理窟というものだ、君はまだ旅というものを知らない」
と、改めて田山白雲は、この青年に教訓してやる心持になりました。
この青年は旅を知らないが、自分は知り過ぎている。旅というものは、足だけでできるものではない、行路の難というものは、山にあらず、川にあらず、ということを、一席聴かせてやることが、この際、後進に対する重大な教育だと感じないわけにはゆかないのです。
そこで田山白雲が、この青年をとらえて、旅というものの教訓を始めようとする時に、この茶屋の前がまたにわかに物騒がしくなりました。