Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 254.021 Zeichen · 495 Bildschirme
「お松さんですか」
「茂ちゃん、下りていらっしゃい」
「お松さん、もう少し――」
「夜露にあたると毒ですよ」
「お松さん、あたいは、すいきょうでこうしているんじゃないのです」
「何でもいいから、もう下りていらっしゃい」
「まだ下りられません」
「どうして」
「あたいの、ここへ上っているのは、物見のためなんです」
「暗いところで何が見えます」
「天には星の光が見えます――北斗七星の上に動かない星があります、右は牡牛座で、左は馭者座でございます、で、頭の上はカシオペヤでございます。カシオペヤは、エチオピア王の王妃で、お喋りでございました――と駒井の殿様……ではない、船長様が教えて下さいました。ですが、あたいは今晩は、その星をながめる目的だけにここへ上ったのではないのです、ねえ、お松さん、あたいは物見のために、今晩はここへ上って、こうして人を待っているのですよ」
「誰を待っているのですか」
「いろいろの人を待っているのです、だが、いくら待っていても帰らない人があります、待てばそのうちには帰る人もあります、やがて眼の前へ直ぐに帰って来る人もあります。その第一の人は弁信さんで、あの人はいくら待っても容易には戻ってくれまいと思います。