Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
あわててそれを抜け出そうとした時に、引きつづいて、第二の波が追いかけて来ました。
「あっ!」
逃げようとする子供の足よりも、追いかけた波の方が早かったものですから、腰から下を、ズブリとぬらしてしまいました。ただ足を洗い、着物をぬらしただけならいいが、よろめく足もとを、引き際の潮がさらったものですから、よろよろよろよろとして、潮に伴われて、なお深い方へ持って行かれてしまったのはぜひもありません。
「あっ!」
この際、片手には生の蛸、片腕には般若の面、そのどちらをも、急に手ばなすことをしなかったものですから、よけい、足もとを立て直すのに苦しかったのでしょう――そこへ、すかさず第三の波。
茂太郎の立ち姿が、もはや水平の上に見えなくなったのも無理はありません。
見えなくなったのみならず、いつまで経っても浮いて来ないのであります。
ここで、この子供は、完全に海に呑まれてしまったことがわかります。
だが、これも、さほど心配するがものはありますまい。今夜は別に暴風というほどでもない、むしろ滅多にはないほどに、海は和らかなのであります。
そうして、山神奇童の茂太郎は、山に入って悪獣毒蛇を友とすることができるように、海に入っても魚介と遊ぶことを心得ているのだから、今夜の、この静かな海の中の、どこへ沈められたからといって、豚の