Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「ばかばかしいにも程のあったものさ、このおっちょこちょいに、こんな羽織を恵むなんて――ほんとうに、見世物師でもなけりゃ出来ない芸当だ」
「それにはね、それで、曰くがあるんですから、まあお聞き下さいまし」
「曰くなんぞは聞きたくないよ」
「まあ、そうおっしゃらずにお聞き下さいましな、拙がこの羽織をいただくまでには、涙のにじむような物語があるんでございますよ、あだやおろかの話じゃございません」
「何にしたって、こんな羽織は、この野郎には過ぎ物だよ」
「そう、おっしゃられては二の句がつげませんが、実はごしんさま、なぐられ賃ですよ、なぐられ賃に、お角さんからこの羽織をいただいちまったんでございますよ」
「よく殴られる男だねえ」
「しかも、その殴られっぷりが、あなた様のなんぞとは違って、ずいぶん手厳しいものでございましたからね、一時は、息の根が止まるかと思いましたよ、命からがら、両国橋まで逃げのびて、そこでやっと、息をついて命拾いをしたような始末でございます」
「ふーん」
「それから、二三日前に伺いますてえと……」
「まあ、それほどの目に逢いながら、またずうずうしく出かけたのかい」