Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「かまいません」
お松は、踏み砕けたままに風呂敷に包まれた絵馬を、与八の手から受取って、
「かまいませんとも、イヤな絵だから、このまま捨ててしまおうと思っていたくらいなんですもの」
「お松さん」
「ええ」
「お前は、どこから、そんなイヤな額を持って来たの」
「与八さん、お前、この中を見てしまったのですか」
「ああ、見てしまったよ、わしもイヤな額だと思った、お松さんがこんな物を持ち歩くはずはねえと思ったから、誰かのいたずらじゃねえかと思ったが、それでも風呂敷がお松さんのだから……」
「そうよ、わたしのに違いないのよ、わたしは妙なところでこれを手に入れたものだから、与八さんに見せようか知ら、それとも見せまいか知らと、考えながら、つい置き忘れたんですが、見られてしまっては、もう仕方がないが、気にしないで下さい」
「別に気にするでもねえが、誰のいたずらだか」
「ねえ、与八さん、あとで、お風呂の下かなにかで焼いてしまって頂戴な」
「うん」
「それから与八さん、もう一つ済みませんがね、これからちょっと、水車小屋まで行って来て下さいな」
「何しに」
「お米がなくなったそうですから、一俵持って来てやって下さいな」